陸上の2021年東京オリンピック(五輪)男子マラソン代表で3月末に現役引退後、明治学院大陸上部長距離ブロック監督の就任が内定している中村匠吾(33=富士通)が5日、東京・同大白金キャンパスで会見した。就任は4月1日付。

異例となる引退直後の選手の監督起用は、28年度までにチームとして箱根駅伝本戦初出場を目指す同大の「MG箱根駅伝プロジェクト」の一環だった。

会見に出席した今尾真学長は「プロジェクト開始から2年が経過し、厳しい現実を痛感した」。中村新監督の下、30年までの箱根駅伝本戦出場を目指すことに方針転換した。「具体的な金額は勘弁いただきたいが、従来の強化体制に比べると数倍の財政的な支援を行っていく」。選手寮の拡充や遠征用バス、医療体制などを整えていく。

中村についても、4月からは監督専業のフルタイム職員で招聘(しょうへい)。報酬体系も見直し、従来より1・5~2倍にアップし、今後は年間成績に応じたインセンティブも用意するという。また、授業の空き時間に大学の競技場を使用可能するなど指導環境の整備も進める。

大学関係者も「数十倍ほどではないが、待遇面も大きく変わる」と話す。

指導未経験の元選手をビッグプロジェクトに招くことについて、陸上部の黒田美亜紀部長も「指導者として(ほかの大学で指導経験がなく)他大学のカラーが今のところがないのが、私たちにとって大変魅力。指導者としてフレッシュな部分がありがたく、お互いに将来的な見込みが一致した」と説明した。

中村は昨年、早大大学院スポーツ科学研究科に進学。青学大の原晋監督と同じトップスポーツマネジメントを学び、今月下旬には修了を迎える。すでに2日から「業務委託」で明学大の選手指導も始めている。

選手引退後は、富士通の陸上部コーチや社員として残る可能性も残していた。それでも、恵まれた環境に甘えず新たなステージを選んだことには「正直言うと(不安は)ゼロではなかった。富士通という安定した場を退社するのは家族の理解もあった」と振り返る。

退路を断ち、選んだのは険しき箱根へのロード。中村は「2030年に予選会突破し、2031年の本選出場を目指して、5年スパンでの予選突破を進めたい」と抱負を誓った。

◆中村匠吾(なかむら・しょうご)1992年(平4)9月16日、三重県四日市市生まれ。上野工高(現伊賀白鳳高)から駒大に進んだ。箱根駅伝は2年時から順に3区区間3位、1区区間2位、1区区間賞。15年に富士通へ入社し、初マラソンの18年びわ湖毎日で日本人トップの7位。21年東京五輪は61位だった。マラソン自己ベストは2時間8分16秒。2月22日の阿波シティマラソン(ハーフ)がラストランとなった。好きな食べ物は焼き肉、すし。