【哀川翔アニキのカブトム史㊦】最後のメッセージは「幼虫も成虫もあまりいじらないこと」

ストーリーズ

寺沢卓

芸能界でカブトムシの第一人者として知られる俳優哀川翔(61)だが、自宅で飼育していたのは12年までだ。自宅の一室にカブトムシとクワガタ、そしてザリガニを飼育する水槽を置いていた。

アニキ もうね、部屋の中は亜熱帯。観葉植物がすごい育って、まるでアマゾン。カブトムシはかなり羽化させた。オオクワガタも飼っていて、一番長く世話したのは3年ぐらい。あまりのアマゾン化に家族からも「これはちょっと」と眉をひそめられて、その昆虫たちを全部北海道・遠軽町(えんがるちょう)の丸瀬布(まるせっぷ)昆虫生態館にあげちゃったんだよ。

08年、映画のロケで北海道を訪れた。そのロケ地から丸瀬布昆虫生態館は車で2時間以上離れていたが「生きた昆虫を展示している施設がある」と聞いたアニキは撮影の合間に車を飛ばして訪ねたという。

アニキ 素晴らしいのひと言。もう気に入っちゃってさ、で、オオクワガタも含めて12年に生きている昆虫をすべて送っちゃったんだ。

そのコーナーは「アニキの森」と名付けられ、アニキは丸瀬布昆虫生態館の「特別学芸員」として登録され、カブトムシを「幼虫か育ててみよう」という趣旨の親子教室を実施して、特別講師としてイベントを実施したこともあった。

アニキ 参加した親子からは「ちゃんと羽化しました。ありがとうございました」とかのメッセージも受け取った。子どもらにカブトムシの育成について興味を持ってもらえてうれしいよ。コロナウイルスもあってしばらく行ってないけど、生態館の近くに道の駅が完成したらしくて、今夏は遠軽町に行っちゃうよ。

幼虫から飼育するのは楽しい。日に日に大きくなっていく姿をみるとワクワクもする。だが、いきなり山にいって、幼虫ポイントを探し出すのは至難の業(わざ)。そこでアニキから提案があった。

アニキ カブトムシの成虫を買ってきて、交尾させるのがいい。衣類を入れるクリアケースでいい。透明な容器の方がよく観察できるしね。そこにカブトムシ用の腐葉土を「これじゃ多いかなぁ」ぐらいたっぷり入れる。土は入れずに腐葉土だけにしておいてね。

成虫はオス1匹にメス2匹。交尾して、しばらくするとメスは腐葉土の中に産卵するための潜り込んでしまう。そうしたらオスは別の容器に中に入れて静かに過ごさせる。カブトムシのオスは交尾をすると体力を奪われてしまうので、メスが腐葉土に潜って産卵行動が確認された時点で引き離した方がいい。高カロリーの専用ゼリーを食べさせる。オスはそのうち足のフック状になっている第1間接がぽろんと切れてしまう。なので、止まり木とかにはつかまれなくなる。

アニキ オスは10月ぐらいまでは生きているね。オレは11月中旬まで飼育したことがあるけど、聞いた話では年越しする個体もあるらしい。

メスは産卵後に死んでしまう。命をつないで、大役を務め終えると、天国に召される。産卵したらメスもすぐに別のケースに入れるほうがいい。

アニキ そのまま放っておくと、自分で産んだ卵を食べちゃうからね。

しばらくすると腐葉土の上にコーヒー豆を細長くつぶしたようなものがぽろぽろと出てくる。腐葉土を食べたあとの幼虫の出した「ウンチ」だ。このウンチは丁寧に除去する。幼虫は腐葉土をムシャムシャ食べるから、ウンチを取り払って、腐葉土を足していく作業が主流になってくる。幼虫は最初、指先の1グラムにもみたない大きさ。

アニキ オレの経験では飼っている容器の大きさに比例して卵の数も増えていく。40センチ×25センチぐらいの大きさの容器なら20~30個ぐらいは産み付けるんだよ。

幼虫は順調に大きくなって、冬になったら活動を停止して冬眠する。春になったら再び腐葉土をムシャムシャ食べ始める。

アニキ GW明けぐらいで75グラムぐらいまで成長していたら、かなり立派な成虫になると思うよ。それからサナギになって、10~20日ぐらいで羽化する。梅雨入りするぐらいかな。その年の気温によって多少のズレはあるけど、この時期はよく観察しておいてほしい。

最後にこう付け加えた。

アニキ 注意してほしいのは幼虫も成虫もあまりいじらない。弱っちゃうからね。そっと観察してください。(おわり)