2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が福島県Jヴィレッジから出発する五輪聖火リレーの最初のランナーに、東日本大震災が起きた11年のサッカー女子W杯で優勝した澤穂希さん(41)ら「なでしこジャパン」の当時のメンバーを起用する調整を行っていることが8日、分かった。聖火リレーは20年3月26日にスタートする。

Jヴィレッジはサッカー施設で、なでしこジャパンがかつて合宿を行った聖地。福島第1原発事故後は、廃炉作業員の拠点となり、プレハブの宿泊所や駐車場が建設され、ピッチは姿を消した。今年4月に全面再開したが、その2カ月前に合宿を組むなど、なでしこは同所に最も縁があった。

東京五輪は「復興五輪」を最重要テーマに掲げている。震災から4カ月後の11年7月、なでしこ世界一のニュースは惨禍に沈む日本に、元気を届けた。その功績からチーム全員が国民栄誉賞を受賞した。

ただ、関係者によると、組織委は複数の候補者を検討しており、別のランナーを充てる可能性を含んでいる。組織委は現在、各地に縁のある五輪メダリストと水面下で交渉中。聖火ランナーの選定を着々と進めている。