ロシアのタス通信は28日(日本時間29日)、フィギュアスケートの世界選手権(3月、ストックホルム)が予定通り開催されると報じた。「大会の準備は計画通りに継続されており、日程に変更はない。関係筋が明かした」としている。この日は国際スケート連盟(ISU)が、開幕まで2カ月を切った世界選手権の開催可否を協議することになっていた。

昨年12月10日のISU理事会では3月22~28日の日程維持が承認され、その後は新型コロナウイルスの感染状況を見極める、と方針が示されていた。

日本勢は、昨年12月の全日本選手権(長野)の成績を基に代表を決定。男子は羽生結弦(ANA)宇野昌磨(トヨタ自動車)鍵山優真(星槎国際高横浜)、女子は紀平梨花(トヨタ自動車)坂本花織(シスメックス)宮原知子(関大・木下グループ)、アイスダンスは小松原美里&尊(ともに倉敷FSC)組が選ばれた。

ペアは全日本で実施されなかったものの、拠点のカナダからの帰国が困難になっていた三浦璃来&木原龍一(ともに木下グループ)組が派遣されることも決まっていた。

今後は、選手の安全を最優先に考えている日本スケート連盟が、派遣の可否を慎重に判断していくことになる。また、スウェーデンが加盟する欧州連合(EU)が日本からの渡航を禁止する決定を出したが、入国管理は原則、権限を持つ各国の判断となっている。

大会概要に関しては、スウェーデン連盟が昨年11月26日に公式サイトで方向性を発表。世界選手権の開催に向けて、外部との接触を断つ「バブル(泡)」環境の整備を検討する、としていた。全米テニスなどで成功例があるコロナ禍の中で有効な隔離策だ。

選手や関係者は各国からの渡航前と入国時に検査を受け、会場のエリクソングローブに入った後はバブルから出ず、敷地内にあるホテルとリンクの往復だけ許される。そうすることで外部との接触が避けられ、泡の内部は安全が保たれる、との開催方式が模索されていた。

また、昨年から無観客を想定しており、代わりにオンラインで視聴できるシステムの構築も進めているという。

昨季の世界選手権(カナダ・モントリオール)は、コロナ禍で59年ぶりの中止に追い込まれた。今季の世界選手権は2022年北京オリンピック(五輪)の枠取りが懸かっており、昨年以上に開催可否が注目されていた。【木下淳】