【トリノ(イタリア)=8日(日本時間9日)】日本初の表彰台独占へ、男子が好発進した。世界王者の宇野昌磨(24=トヨタ自動車)がSP今季世界最高の99・99点で首位に立った。10日のフリーでは高橋大輔、羽生結弦に続く、日本男子3人目の優勝が懸かる。94・86点の山本草太(中京大)が2位、87・07点の三浦佳生(オリエンタルバイオ/目黒日大高)が3位で続き、佐藤駿(明大)は76・62点で6位。06年トリノ五輪の会場からハイレベルな競演を届ける。

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あれから16年、山本は見る側から滑る側となっていた。06年トリノ五輪の表彰式でプルシェンコの胸に輝く金メダルをテレビで見て、「ほしい!」と純粋に願ったのが競技人生の原点。「ショートでずっとノーミスをしてきているので、自分でもびっくりです」。うれしい驚きで、特別なリンクでの初演技を終えた。

冒頭のトーループの4回転-3回転から、続く4回転サルコーへ。滑らかさを持った跳躍だった。「必死に考えながらできているからこそ、ここまでノーミスを繰り返せているのは成長した部分」。得点は94・86点で2位につけた。

始まりの場所。五輪を目指す道は真っすぐではなかった。16年3月に右足首を骨折。再骨折などが重なり、3度の手術を行った。いまも患部にはボルトが3本埋め込まれている。途絶えかねなかった歩みを地道な努力でつないできた。「フリーも自信を持って臨んでいきたい」。思い出の地で、さらに舞う。【阿部健吾】