ショートプログラム(SP)2位の三原舞依(23=シスメックス)が逆転で初優勝を飾った。GP10大会目にして第4戦英国大会で初優勝を飾ると、第6戦フィンランド大会で2連勝。そこにこの日、18年の紀平梨花以来、日本女子4人目のタイトルが加わった。2週おきの欧州での大会。全てを現地で取材した記者が、3連勝の原動力を見た。

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疲労は限界に近づいていた。

首位の坂本花織と1・28点差で迎えたフリー。6つのジャンプを降り、最後の3回転ループが2回転となった。右足に重心を乗せ、跳び上がるジャンプ。優勝が決まった後の取材エリアで「いつ倒れてもおかしくなかった」と右足の疲労を明かした。11月11日開幕の英国大会、同25日開幕のフィンランド大会、そして12月8日開幕のファイナル。1カ月の間に日本と欧州を2・5往復し、時差調整も行いながら結果を出した。

原動力は間違いなく、周囲の支えだった。家族や友人、コーチらはもちろん、見知らぬ人にも背中を押された。フィンランド大会のエキシビションが行われた11月27日。夕方にエキシビションを終えると、外は真っ暗になっていた。

転戦を続ける中での、わずかな自由時間。氷点下の屋外にスケート靴を持って飛びだした。チーム宿舎の裏側には、無料で滑ることができる屋外リンクがあった。ともに大会に出場した河辺愛菜らとスケートを楽しみ、一般人に交じって、クルクルとスピンした。帰り際、リンクのスタッフが笑顔で送り出してくれた。

「ステキなスケートを見せてくれて、ありがとう」

3シーズン前は体調不良で全ての競技会を欠場した。復帰後も日々コンディションと向き合い、笑顔でリンクに立ってきた。今大会開幕前日の7日に言った。

「せっかく来ているので、このままスケートも楽しんで、自分のできることを全部、出し切れたらいいなと思います」

観客席に目を向けると「Mai」と記されたバナーが見えた。多くの人の温かさに触れ、つかみとった金メダルだった。【フィギュアスケート担当=松本航】

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