フィギュアスケート男子の冬季オリンピック(五輪)2連覇王者、羽生結弦さん(30)とシンガー・ソングライター米津玄師(33)の特別コラボレーションが実現し「演技構成」が大きな話題になっている。
テレビ朝日系アニメ「メダリスト」のオープニング主題歌「BOW AND ARROW(ボウ・アンド・アロー)」のミュージックビデオ(MV)が、米津のYouTubeチャンネルで5日に公開され、羽生さんが自ら振り付けを手掛けたスケーティングを披露した。
公式X(旧ツイッター)「米津玄師 ハチ」が「なんと羽生結弦さんに出演して頂きました。やばすぎ!よろしくお願いします」とポストすると「羽生結弦official_Staff」の公式Xが引用リポスト。曲目に合わせた弓矢の絵文字などを添え「最強の楽曲と共に」と投稿し、その下に驚愕(きょうがく)のショートプログラム(SP)構成が記されていた。
[Elements]4Lz 3A FSSp 4S+3T CCSp StSq CCoSp
4回転ルッツ、トリプルアクセル(3回転半)から演技後半に4回転サルコー-3回転トーループの2連続ジャンプ。最後は、成人男性の骨格では「奇跡」ともされるビールマンスピンで美しく締め、高難度ジャンプと異次元の柔軟性を両立させた。アニメへのリスペクトが込められた「音ハメ」も称賛されている。
中でも4回転ルッツがファンの心を打った。羽生さんは17年10月のロシア杯フリーで初めて同ジャンプに成功したが、同11月にNHK杯の公式練習で跳んで右足首を負傷。翌18年の平昌五輪では回避を余儀なくされた大技を、解禁した。19年のグランプリ(GP)ファイナルでも決めたが、当時もフリー。“SPでは初”となる4回転ルッツを、プロ転向3季目で、昨年12月7日に30歳の誕生日を迎えた後に、美しく降りてみせた。
かつて長期離脱に追い込まれた“因縁”があり、封印されてきた代物だったが、それを、昨年12月から今年2月の単独アイスショー全国ツアー「Echoes of Life」や、今月7日から3日間の座長公演「notte stellata」(宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ)の合間に練習。見事に決めたことも、心技体の異次元さを物語った。
構成も史上最高難度だ。5年前、自らのSP世界記録(現行採点方式)を更新した20年4大陸選手権(ソウル)。111・82点をマークした時のジャンプが4回転サルコー、4回転-3回転の2連続トーループに3回転半だった。2連覇を遂げた18年平昌五輪のショパン「バラード第1番」に回帰し、自身が持つ18年ロシア杯の110・53点を塗り替えた。その構成を、大きく上書きして驚かせた。
「バラ1」は、ポーランド出身のショパンが25歳だった1835年に完成させた作品。当時の「羽生選手」が同じ25歳でよみがえらせて「ワインやチーズみたいなもので、滑れば滑るほど、時間をかければかけるほど、熟成されていって深みが出るプログラム」と愛していたが、少なくともジャンプ構成の上では、スーパースラム(主要国際大会6冠の完全制覇)達成から5年も後に、競技者時代の羽生をプロ転向3季目の羽生さんが超えた。
MVの公開直後からSNSも沸騰。「30歳であの美しすぎる4回転ルッツはもう人間超越してる」「プロになってから現役時を上回る羽生さん史上最高難度のSPを見せてもらえるなんてハート」など、衝撃の大きさをうかがわせる投稿が相次いだ。一夜明けても「羽生くんの4Lz」がトレンド入り。米津との「最強」コラボで、また限界突破した。いまだ底が知れない。【木下淳】


