おぼん・こぼん 借金も離婚も病気もネタにする、芸人のプライド

【番記者裏話】スクープや芸能界の最新情報を求めて現場を駆け回る芸能記者が、取材を通じて感じた思いをつづります。とっておきの裏話を明かすことも…。「水曜日のダウンタウン」での仲直りが話題になったベテランコンビ、おぼん・こぼん。著書を読むと、テレビには映らなかった、2人の心のひだに隠された心情が垣間見えました。

番記者裏話

竹村章

不仲コンビの奇跡の仲直りが話題となった、お笑いコンビ、おぼん・こぼん。おぼん(73)こぼん(73)による共著「東京漫才」(飛鳥新社)がこのほど出版され、都内で行われた2人の記者会見を取材した。

コンビ結成からの、2人の漫才人生を洗いざらいつづった、初の自伝的回顧録だ。おぼんは「本は書きたいなと思っていたところ、仲良くなったことで声をかけてもらった。うれしかったね」と話す。

もちろん、出版のきっかけとなったのはテレビ番組だ。2人の不仲や仲直り企画を19年からずっと追い掛けてきたTBS系「水曜日のダウンタウン」(水曜午後10時)の功績は大きい。昨年10月の放送では、2人の和解が放送され、ネットニュースでも大きく報じられ、そのことで2人の漫才コンビを知った若い世代も多いと思う。

それでも、テレビには映らなかった、2人の心のひだに隠された心情が、今回の著書には書かれている。何か、特別な、2人の57年間の芸人人生を一気にひっくり返す衝撃さはないが、読み込むと、あー、よく分かるな、という内容がつづられている。

ずっと、この本を著書と書いてきたが、会見でのこぼんは「何日間もインタビューしてもらって書いてもらった」と暴露してしまい、報道陣の笑いを誘った。おそらく、文面から察するに、インタビュアーによる聞き書きなのだろうが、2人が本心を語っていることに違いはない。

著書には、2人が結成当時からケンカをしていたことや、不仲となったきっかけなどがつづられている。若かったビートたけしや、とんねるずといった東京芸人のエピソードのほか、演芸場や、キャバレー、そして、レストラン・シアター「赤坂コルドンブルー」などのエピソードも満載。会見で、おぼんは「ジョン・レノンを笑わせた、最初の日本の芸人だ」と胸を張った。コルドンブルーにオノ・ヨーコ&ジョン・レノン夫妻が来店しており、ヨーコの通訳を聞いて、ジョンがワンテンポ遅れて笑うというシーンの話を聞くと、2人の芸人としての歴史を感じざるを得ない。

チューのマネをするおぼん(右)こぼんの2人(2022年3月撮影)

チューのマネをするおぼん(右)こぼんの2人(2022年3月撮影)

さらに、本著では、おぼんがバブル時代に、新設のゴルフ場の会員権詐欺に遭い、6000万円の借金を背負ったことや、「趣味は結婚、特技は離婚」として、3度結婚したこと、2度目の妻との間に生まれた子どもたちに、養育費を支払っていたことも記している。おぼんは「ゴルフ場のローンと養育費で、月に200万円は支払っていたかな。それが終わったのは6年前。だから、コンビも解散してもいいかなと思ったんです」。

こぼんも、肺がんや前立腺がんを患っていたことを告白しているほか、3年前には、国の指定難病、全身性アミロイドーシスを患い、余命10年の宣告を受けていたことも記している。発症率が100万人に1人の病気だが、こぼんは「自覚症状は全くなく、元気です。70歳の時に余命10年といわれましたが、80歳まで生きられたら、結構な長生きですよね」と笑わせる。笑ってもらう芸人だけに、病気のことを公にしてこなかったことなども、芸人のプライドを感じさせる。

会見は30分ほどだったが、終始、報道陣は爆笑の連続だった。これでもか、これでもかというほど、ツッコミ、そしてボケる。お笑い界では、第7世代なるキーワードが広がっている。おぼん・こぼんの世代は確認はしていないが、笑いの腕は超一流だ。