大河初の紫式部 歴史が苦手な層にも受け入れられる「戦」のない異色作品

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番記者裏話

遠藤尚子

24年NHK大河ドラマが、吉高由里子(33)主演の「光る君へ」に決まった。大河としては初めてとなる紫式部を主人公に据え、平安貴族社会を描くという。

柴咲コウが主演した17年「おんな城主 直虎」以来の女性主人公となる。制作統括の内田ゆき氏によると、題材の選定にあたっては「女性であること」が大きなポイントだったという。平安時代に才能と努力で「源氏物語」を生み出した、自立した女性像にひかれたといい「大河に取り上げるのであれば、生活も生業も主導をとっていた女性を描きたいという思いがあった。考えついたのが紫式部でした」と振り返る。

生没年不詳の謎多き女性だが、同時に物語構築の“余白”にやりがいも感じている様子で「(脚本の)大石静さんの発想の翼、自由な発想を思いっきり使っていただければ、十分に(ストーリーが)もつと思っています」と不安を一蹴。「年表を追うようなドラマで考えるとやや難しいと思うけれど、今を一生懸命生きる人が心を寄せて見られるようなドラマにできれば。決して“ネタバレ”みたいなことにはならないと自信を持っております」と、先の読めない展開に期待を持たせた。

紫式部と藤原道長との愛憎、平安の権力争いも物語の重要な要素になるという。制作発表で大石氏が掲げた「セックス・アンド・バイオレンス」というコピーに笑いつつ、「平安時代は雅で優雅で静かな時代と捉えられているけど、権力闘争があったり深い情愛があったり。そういうものを大切に描こうと思っている」。大河ではヤマ場に用いられる「戦」がない異色の作品でもあるが、見どころは紫式部と道長の関係性といい「『光る君へ』には2つ意味があって、1つは自分の大切な著作に対する紫式部の思い、1つは光源氏のモデルの1人だったとされる藤原道長への思いを込めている。そこを実感しながら見ていただけるシーンが、中盤に必ず来るのではと思っています」と語った。

大河初の紫式部、濃密な恋愛模様、雅な平安貴族の世界を描くチャレンジングな企画は、局内の選考過程で好意的に受け止められたという。毎週のように血みどろの争いが繰り広げられる放送中の大河「鎌倉殿の13人」とのギャップかもしれないが、目にも華やかであろう貴族の日常を想像すると、ちょっと心が躍る。「歴史は苦手」という層にも、視聴の裾野も広がるのではないだろうか。