2003年(平15)の福岡ダイエーホークス売却案に端を発した球界再編問題を掘り下げる。2004年9月18、19日に「ストライキによるプロ野球公式戦中止」という事態が起こるほど、平成中期の球界は揺れた。それぞれの立場での深謀が激しくクロスし、大きなうねりを生む。

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連載一覧

それは1通の親書から始まった/球界再編問題

「ビジネスモデルは福岡にあった」/堀江貴文氏1

三木谷氏やる気ないと…/堀江貴文氏2

NPBも「16球団」に/堀江貴文氏3

改革案に球界内からの「待った」/再編の予兆1

強まった「1リーグ制」への流れ/再編の予兆2

合併のため私を呼んだのか?/もう1つの合併1

堤オーナー提案「ロッテ+西武」/もう1つの合併2

パイ縮小…逆行してる/立ち上がる選手会と古田会長

近鉄礒部が「裏方さんはどうなる?」/選手会の葛藤

潮目となった渡辺オーナーたかが発言/球界再編問題

まとめ役阪神をやりこめる巨人/巨人vs阪神1

巨人「パ移籍」発言で一変/巨人vs阪神2

「パ4つになればおいしいこと…」/極秘文書の存在

経営側“後ろ盾”となった根来文書/球界再編問題

加えられなかった「最大限」の3文字/球界再編問題

「ファンの応援ありがたかった」古田/球界再編問題

球界参入の突破口 検討委員会/楽天の挑戦1

「公共財」にふさわしかったのは/楽天の挑戦2

1カ月で200億円買収劇/ソフトバンクの誕生

米参考ボールパーク化/コミッショナー語る未来図1

アジア人が目指す日本/コミッショナー語る未来図2

スト直前 緊迫のオーナー会議/次代のプロ野球へ

03年10月、12球団オーナー会議後、報道陣の質問に答える巨人渡辺恒雄オーナー
03年10月、12球団オーナー会議後、報道陣の質問に答える巨人渡辺恒雄オーナー

<球界再編問題の経緯>

★03年(平成15年)

◆5月23日 パ・リーグのダイエーが球団を売却する案が浮上。

★04年(平成16年)

◆6月13日 パ・リーグの近鉄とオリックスの合併合意が発表される。発表を受け、もう1組の合併を経て、10球団による1リーグ化へと移行すべきとする意見が出る。

◆同30日 「ライブドア」が近鉄の買収に名乗り。堀江貴文社長(当時31)が会見し、セ、パ2リーグ制の維持を主張。

◆7月5日 プロ野球選手会の古田敦也会長が、機構側との団交で合併拒否の姿勢を示す。

◆同7日 西武の堤義明オーナー(当時70)が「もう1つの合併が進んでいる」と発言。

◆同8日 オーナー側と直接話したいとする古田会長の意向を聞いた巨人渡辺恒雄オーナー(当時78)が「分をわきまえないといかんよ。たかが選手が。たかがといっても、立派な選手もいるけどね。スト? どうぞやったらいい」と発言。

◆同10日 選手会が臨時大会を開き、合併が強行された際のストライキを決行する可能性があることを満場一致で決議。

◆8月7日 ダイエーとロッテが合併に向けた交渉を行っていたことが明らかになる。

◆同19日 ライブドアが新球団結成を発表。

◆同27日 近鉄とオリックスが統合の契約を締結。

◆9月14日 インターネット商店街最大手の「楽天」がプロ野球の球団経営に参入する意向があることが明らかに。

◆同17日 翌年からの新球団参入を希望する選手会側と機構側の交渉が決裂、18、19日にストライキが決行されることに。根来泰周コミッショナー(当時72)は辞意を表明。

◆同23日 労使間で来季からの新規参入に前向きな項目を含む7項目の合意書が調印され、今後のストライキが回避されることに。

◆同24日 統合新球団の名称が「オリックス・バファローズ」に決定。楽天がNPBに加盟申請。本拠地を仙台とする内容。

◆10月6日 楽天とライブドアに対するNPB審査委員会による第1回の公開ヒアリングを開催。

◆11月2日 オーナー会議が開かれ、楽天の新規参入を全会一致で承認。

◆同15日 実行委員会が行われ、ダイエーが通信大手「ソフトバンク」に球団を売却することを報告。承認された。